ドラッグ戦争
台風は過ぎ去り、その被害は「どんなに人間が対抗したとしても、自然はそれを超えることができるのだ。」ということを伝えているように思うのだが、おっさんは焼酎を飲んで朝起きて神仏に祈りを捧げ、そして労働に携わり一日を過ごす、その繰り返しである。
さて今回のおっさんが吠えたいことは「ドラッグストア」についてである。
おっさんの住んでいるところはまさに今開発が最終段階に入りつつあるホットなエリアで、かつておっさんが子供のころは田んぼだらけだったものが、どんどん宅地化され、アパートや一戸建てが次々と建てられているエリアである。
数年前まではコーポやマンションが建てられることの方が多かったのだが、今は一軒家の方が断然勢いあるな…。
そしてそれにあわせるかのようににこのエリアで現在勃発しようとしているのが、痲薬戦争ならぬ、ドラッグストア戦争なのである。
現在おっさんの住み家から半径約2キロ圏内にどのくらいドラッグストアがあるのか数えてみたところ、8店舗もあり、うち2店はここ半年にできあがったもので、更に現在1件オープンに向けて建設中なのである。
振り返ればこのドラッグストア戦争の前には美容室と整体のお店のオープンラッシュがあった。
次から次へと美容室と整体が開業し、美容室に至っては両隣、更には道路を挟んで向にもお店ができたところもあった。
ちなみに美容室・整体の前は高齢者介護関係のオープンラッシュで、介護予防、その前は高齢者住宅(高齢賃)が次々と出来上がった。
こうして見ると洋服など毎年毎年流行があるようにように、、産業界にも毎年毎年ではないものの、できるお店トレンドがあるのだろうか?
けれどもそのたびに思うのだが、一体こんなにも必要なのだろうかと思うのである。
そしてもしそれが田畑などを埋め立てて出来上がるならば、無駄にしか思えずとても悲しい気持ちとなるのである。
というのも数年前に全国展開している大手スーパーAE◎Nがやってきた。
それなりにお客さんも入っていたと思ったのだが、売り上げが目標に届かなかったのか3年ほどで撤退していったのである。
まるで嵐のように来ては過ぎ去っていったようで、結局のところ近隣を荒らしただけで、地域のことなど全く考えていないとしか思えなかったのである。
美容室や整体はほとんどのところが個人営業であり小さいお店なのでまだかまわない。
つぶれてしまっても数週間もすればここに何があったのか思い出せないほどのものである。
けれども大規模店となるとやはり地域に与える影響は大きい。
それに巻き込まれる小規模店も多いし、人の行動パターンも変わってくる。
そして今出店ラッシュしているドラッグストアはどこも大規模店だ。
幸いでもないが小規模ドラッグストアは既に廃業しており、その影響を受ける個人商店は少ないのであろうが、地域の人々の行動パターンには大きな影響を与えるであろう。
おそらくこれから数年後いくつかの店舗は撤退したり、あるいはドラッグストア会社同士の買収合併により統廃合されていくのではないかと思う。
その時に迷惑を被るのは地域の人々である。特に高齢者に与える影響は大きいことだろう。
資本主義とは競争をよしとする社会である。
それによって人々は切磋琢磨し、より社会が発展していく。
けれどもそれを一歩裏返せば、必要以上に競争合戦が繰り返され、その後に残るのは兵どもが夢の跡の世界である。
いわゆる荒地である。
様々なものが大量に廃棄もされ、無駄に終わってしまう。
人口減少社会の中で繰り返される過当競争とはいかがなものかと思ってしまうのである。
大規模店舗に関する規制が緩和され大手のチェーン店が次々と店舗を出店する。
それを役所が止めることはない。
彼らは法に従い認可するだけである。
法を満たしているかチェックする機械の如くである。
そして人々はもしかすると一時的な便利かもしれないものに流されていく。
そこでおっさんは思うのである。
眼先の便利に流されてはならない。
何が必要で、何が不必要かしっかり判断することが必要であると。
そのことにもうそろそろ人々は気づいてもいいのではないかと。
けれども世の中は宣伝だらけ。
各メディアの宣伝攻勢にさらされ、洗脳され、人々は消費へと向かう。
大規模店舗は大量一括仕入れで確かに安い。
そして人々はその安さに魅かれ足を運ぶ。
かくいうおっさんも広告を見てついついオープニングセールに出かけ、ひげそりクリームに牛乳石鹸と焼酎を買ってしまった。
負けてしまった…。
けれども同じような大規模ドラッグストアが並ぶなら、せめて地域に本社があるところで買おうと心掛けるのである。
最後に企業戦略に負けてしまった反省として、おっさんは今日も「畑の中のプラスチック類はいらない!」と農作業に励むのである。
そして夜は一杯ひっかけ、あすの気力を充電するのである。